毎日新聞

広島県府中商工会議所などが東京都内に初めて単独で開設する「広島県府中市アンテナショップNEKI(ネキ)」。開店を9日に控え、店長となる山根良治さん(46)が、店舗のメインとなる府中焼きの腕に最後の磨きを掛けている。「ふるさと府中に恩返ししたい」【松井勇人】

 

 山根さんは元大相撲関取。市立府中第三中(現府中明郷学園)卒業後、九重部屋に入門した。1986年に初土俵を踏み、「山根」や「嵐」のしこ名で、東十両十枚目を最高位に、幕内昇進は果たせず00年に引退した。

 

 もともと飲食業に関心があり「(店長の)話が来た時はチャンスと思った」という。しかし、4月から広島市内の府中焼き店で研修を始めると、生地作りから接客まで勉強の連続。「甘くみていた、と実感した」

 

 7月下旬には「備後府中焼きを広める会」の粟根克哉会長(58)が見守るなか、6人前をてきぱきと仕上げ、「手際がいい」と評価された。粟根会長は、府中焼きのカリッとした食感を出すために「外側をよく押さえると油がしみ込むよ」などとアドバイスしていた。

 

 「不安100%だけど、やるしかない」と山根さん。粟根会長も「都内に府中焼きの普及拠点ができる。今から楽しみだ。頑張れよ、とエールを送りたい」と期待を寄せた。

 

 NEKIは東京都千代田区神田小川町1の商業ビル1階。「備後府中焼き」の飲食店を中心に、特産品の販売コーナーも設ける。